先日、私は日本に居ながらも英語を使わざるを得ない状況に遭遇した。
中学校から英語には触れてきたものの、いざ実践的な英語の使用を迫られたとき、私は自分の英語力の低さを痛感した。
特にひどいのは、ヒアリングだ。相手が英語で何を言っているのかわからない。
このままでは右に曲がるべきところで灯りをともしてしまい笑われそうだ。
仕方がないので英語の勉強をすることにした。
ただし、英語の参考書を買って、付属のCDを聴き、ひたすら設問に答え続けるというような勉強方法はまっぴらごめんだ。
その方法は確かに学習効果があることは理解しているが、新鮮味がないし、好奇心が湧かないし、意に染まないし、これまでつまらなかったし、これからもつまらなそうだからだ。
さしあたって、英語の勉強の役に立ちそうでなおかつおもしろそうな物を自室から探した。
私は自室から「KILL ME BABY Complete Collection」を見つけた。
これは芳文社刊行の月刊誌「まんがタイムきららキャラット」で2008年から2018年現在まで連載されている4コマ漫画「キルミーベイベー」を原作とし、2012年1月から同年3月まで一部TBS系列で放送されたテレビアニメ「キルミーベイベー」全13話が北米版+日本オリジナル版の2言語で収録されている、アニメのDVDである。
これを毎日継続して視聴すれば、英語のヒアリングが上達するのではないだろうか。ひとまず私は上達を目標とするのではなく、上達するかどうかを検証するというスタンスで始めることにした。これならば上達しなかった場合も「上達しなかった」という新たな事実を得ることができる。
しかもこのアニメ、なんと日本で制作されたにもかかわらず、むしろ輸出先の北米での人気の方が高いそうだ。実はこのDVDで英語を勉強せんとした先駆者もいくらかいるらしく、案外私の発想は典型的なものらしい。
聞けば私の友人もこれを利用して英語を勉強しようともくろんだことがあるそうだが、片手の指で日数を数えていくうちに途絶えてしまったとのこと。なんでも毎日続けるのがめんどうくさかったらしい。根性無しめ。
しかし、確かに毎日継続していくというのは労力がかかる。このアニメは1話につきおよそ23分で展開されていくが、1日にたった23分を英語に費やすだけでも案外ほねが折れる。
では、毎日継続するためにはどうすればよいだろうか。
簡単に考えて、1日に5分間だけ集中して聴くことにした。
ただし、その5分間で、聴き取れた単語や文章をとにかくひたすら紙の上に書き出していくというルールを決めた。
これならば自分の集中度合いを可視化できるし、英語力の向上が紙の上に書き出された英語の数として現れるから、日に日に私を奮起させてくれるに違いない。
紙とペン、そしてキルミーベイベー。準備は整った。はじめ。
"~~~!"
"~~~?"
"~~~!?"
"Sonya!"
"Yasuna!!"
Punch, Punch, Wrestling, Knife!!
予想していたより全然聴き取れなかった。内容はわかるのだが、それを文章化できない。
かろうじて聴き取れたのは
"Are you afraid of ghost?"
だけだった。登場人物のソーニャは殺し屋のくせにお化けが怖いらしい。小学生レベルの英語力だ。
今日は自分がいま小学生レベルの英語力だとわかったことが成果だ。
明日も同じ5分に巡り合う。
Baby, please kill me.
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